私は好きなの！⇔オレを見ろ！

　20分が経過する頃には裕也の体調が戻ったのだが、まだ少し頭がはっきりしないのか目がうつろであった。


「裕也おはようさん」
「雪‥奈？」
「そう、今世紀絶世の美女、アナタの雪奈ちゃんだよ」
「……ふん」
「もう大丈夫みたいだね」
「…途中から記憶ないんだけど…、何か両頬痛い」


　左の頬はハリ手のあと、右はつねったあとが残ってはいたが、鏡が近くになかったので確認する事が出来ない。


「ねえ裕也…」
「何？」
「あのね、謝らない…といけない事があるんだけど…」
「謝る？雪奈が謝るとか珍しいな」
「う…ん」


　雪奈は普段あまりみせないしおらしい様子を見せ、裕也は不覚にも心がキュンする。


「怒らない？」
「う、うん！」


　意外な展開を期待した裕也は呼吸が荒くなり、雪奈の顔をまともに見れなかった。