私は好きなの!⇔オレを見ろ!

「悪い…ごちそうさま」


 雪奈とは対極的に元気のない裕也はおもむろに席を立つ。


「待てよ裕也、全然食べてないけど」
「食欲なくって…、カレー美味しかった」


 賢一にそう伝えると一切振り向く事はなく、その足で静かに部屋に戻っていった。


「もう何、本当に場の空気を壊すヤツ」


 雪奈はそう吐き捨てると、賢一からついでもらったカレーをすでに食べ終え、紗耶のためについだはずの付け合わせに手が伸びていた。


「裕也…大丈夫かな?おかゆでも作ってやった方が…」
「山元君大丈夫だって、裕也とかほっといても大丈夫だから。それよりおかゆ作るなら頂戴、後で部屋で食べるから」
「・・・・・」


 賢一の神経が可笑しくなったのか雪奈の無神経な言葉にあきれを通りこして、ここまでくると感心するほどにまでなっていた。