私は好きなの!⇔オレを見ろ!

「もう…、裕也と雪奈は相性悪いね、まあしばらく時間空けたら?」
「…うん。そう…する」
「調子狂うな。また今度かけるからそれまでにどうにかしてよ」


 いつもなら作者が電話を切ったあとはすぐにケータイを仕舞うのだが、この時に限ってはなかなかしまおうとしない。


「ハアー、やっぱり…、いや、オレは悪くない。悪いのは雪奈だから雪奈が謝るまでは…」


 裕也はどうしたいのか完全に迷っており、自分の本当の気持ちがわからなくなっていた。するとドアをノックする音が鳴る。


「どうぞ」


 ゆっくりドアが開くと、部屋の外には賢一が嬉しそうに立っていた。


「ご飯出来たぞー、雪奈さんたちも下にいるから早く行こうぜ」
「ああ…」


 賢一はウキウキしながら裕也の手を引っ張り、裕也はなすがままに下に連れていかれた。