私は好きなの!⇔オレを見ろ!

 それから20分、雪奈と紗耶は胸が目立たないようにゆったりとした服とデニム、そして顔を隠すくらいの大きなキャップをかぶる。


「二人とも似合う」
「っていうより、私は普段着ている服とあんまり変わらないし…」


 雪奈は変装になっていない変装に疑問が生まれた。それとは反対にいつも女の子らしい格好が多い紗耶は部室にある鏡の前でウキウキし、今にもはしゃぎそうだった。


「ま、まあ格好はコレでいいとしても、どうやって裕也のマヌケ面を拝もうか?」
「それは…、何もしなくても…」
「どうして?」
「山元…君の一人…勝ちかと」
「まあ冷静に考えたらそうだよね?結果見えているし、行くのやめようか?」
「いえ行きましょう、万に一つって可能性もあるし」


 雪奈は、ないないと手を横に振ったが、もしかしたらという気持ちもあったので仕方なく行くかという顔でごまかす。