私は好きなの！⇔オレを見ろ！

　そうこうしているとかなり大型な車が遠くからやって来て、大学の正門の前に静かに止まる。


　助手席から降りて来たのは石崎で、格好はセレブそのものであった。


「皆さんお早う」


　裕也は石崎の格好を見るなり、ニヤけだした。すると運転席にいる一人の人物が目につく。


「あの理事長、あの運転車…」
「旦那よ旦那。こう見えて結婚しているんだから」
「そ、そうですか」


　裕也の淡い夢は一瞬でなくなり、合宿の楽しみが一つ音もなく崩れていく。


「ねえ、確か六人って聞いていたけど…まだ来てないの？」
「…す、すみません。昨日二人とも急に体調崩したらしくって…」
「そう…、でも問題ないからいいか」
「問題ない？」


　石崎の発言に少し気になった裕也だったが、雪奈を起こすと六人は石崎が所有する別荘に向かいて発進。