春の桜は時と共に散ってしまい、季節は春から梅雨の季節に差し掛かっていた。


　大学生活2年目を迎えた裕也は朝から眠いらしく意味もなく疲れた事を連呼。だが今日も、所属しているサークルに足を向けた。


「お疲れ、あーあ鬼疲れた」


　しかし部室には誰もおらず、裕也の言葉が部室内に虚しく響く。


「誰も…なしか」


　変な確認をしながら持っていた荷物をベンチに置き、その横で腰を降ろした。


「今日はもう帰ろうかな」


　そうぼやいていた裕也だが、部室にある人が入ってきた瞬間その気持ちは一変。


「あ、紗耶ちゃん」
「お疲れ様です」
「お疲れ」


　紗耶は裕也の座っている場所の対角線上にある椅子に座り、裕也とは目線を合わせようとはしない。