「誰に向けて!?」


「だから!
お前だって!
天然もほどほどにしてくれよ…」


「うっ、何かごめん…。
でも、信じられなくて…」


「じゃぁ、本気だって証明してやろうか?」


「え?
何かする…」


チュッ。


「んっ…!?」


数秒触れて離れる唇。


「い、今の…」


「証明だよ。
俺が、葵を好きだっていう…」


「……っ」


「なぁ、葵は…俺のことどう思ってるんだ?」


「…好きだよ…」


「それは幼なじみとか、友達としてか?」


「違う…。
私も、南と同じ気持ちで南が大好きなの!」


「それって…OKってことか?」


こくこくとうなずく。


「……っ。
はぁーーーーー!」


「えぇ、何で深いため息!?」


「何でって…。
内心スゲードキドキしてたんだよ。
俺の本当の気持ちを言ったことで、葵にまた避けられるんじゃないかって…」


もしかして、南も私と同じことを思ってたのかな…。


「あの時はごめんね…。
私も頭がこんがらがっちゃってて、どうすればいいのか分からなかった。
でも、葉月のお陰でちゃんと南と向き合おうって勇気が出せた」


「葉月が?
てことはあのオカン、全部お見通しだったってわけか…」



「え?」


「いや、何でもない。
…まぁ、晴れてこれからは葵のこと、彼女って言ってもいいんだよな…?」


「う、うん…。
彼女…か。
何か恥ずかしいね…」


「そう…だな」


二人で照れあっていると、パッと周りが明るくなった。


「あっ、電気回復したみたい」


「助かったな。
じゃ、そろそろ外出るか。
葉月も待ってるだろうし」


「そうだね」


立ち上がろうと、足に力を入れた時


「ガタガタッ」


黒板の方から響きわたるような大きい音がした。


「「え…」」


一気に二人の動きが止まる。


ジッと教卓の方を見るけど、あの音以外シーンとしている。


「誰かいるのか!?」



南が教卓に向かって叫んだ。


さっきまでこの教室にいたのは、私と南の二人だけのはず…。


電気が消えてからも、ついてからも、誰の足音なんて聞いてない…。


最初からここに誰かがいたんなら話しは別だけど、さっきみんなで外に出たし…。


じゃぁ、そこにいるのは一体…誰?


もしかして…。