「み、南!?」
どうしてここに…。
でも…南で良かった。
お化けだったら私、絶対悲鳴上げて気絶してたよ…。
「どうしたの?
南も何か忘れ物?」
「…いや、別に…」
別に…?
忘れ物じゃないとしたら、南は一体教室に何しに来たんだろ…。
「あのさ、葵…。
俺……」
南が何かいいかけた時、突然フッとすべての電気が消えた。
「え、え!?
何これ!?」
ヤダ…怖い…。
「みなみ…南…!
怖い…どこにいるの、南!」
パニクって、私は頭を抱えてしゃがみ、どこにいるのか分からない南の名前を何度も呼んだ。
「みなみ、みなっ…!」
すると、前からギュッと暖かい体温を感じる。
「みな…み…?」
「落ち着け、葵。
大丈夫だ、俺はここにいるから…」
「南…」
暗くてよく見えないけど、私は南の服をギュッと握った。
「…大丈夫か?」
「うん、落ち着いてきた…。
南、ごめんね。
ありがとう」
「何で謝んだよ」
暗闇に目が慣れてきて、フッと笑う南の顔が見えた。
「そういや、何で葵は暗闇がダメになったんだっけ?」
「それは…」
遠い昔の記憶。
そうだね、今から9年前。
私が6才ぐらいだった時の話…。



