【葵】
うぅ〜…。
何で一人で教室まで戻らないといけないんだろ…。
おまけに先生たち、みんな外に出てるから中真っ暗だし…。
いや、電気つけて行けばいいだけの話なんだけどね?
けど電気つける前の暗闇が怖い…。
私暗いのも怖いのもダメなのに…。
やすやす承知するんじゃなかった…。
後で後悔しながら、私は自分のクラスまでなんとかたどり着いた。
えっと…ハチマキ、ハチマキ…。
電気をつけて机の上を見ていく。
すると赤いハチマキが1つ置いてあったのを見つけた。
…今思うけど、私のハチマキを葉月に渡した方が早かったんじゃ…。
あ、でも私のオレンジなんだった。
じゃぁダメか…。
この学校の文化祭では、1人何色でもいいからハチマキに何か書いて、二日間持っておくと願いが叶うと言われてる。
だからみんな二日間はハチマキをちゃんと持っておかないといけないのだ。
そういえば…葉月は何も書いてないのかな…?
手に取ったハチマキを広げて見てみようと思った。
勝手に見るのはあれだけど…。
ごめん、葉月!
ハチマキを広げた時…。
ガタッと、物音がした。
その音に一瞬ビクンッとなってびっくりして心臓が痛くなった。
この校舎には今、私しかいないはず…。
まさか…お化け!
ドキドキする心臓を抑さえつけながら、ゆっくりと振り返ってみた。
そこにいたのは…。
「……!?」
息を小さく切らして、扉にもたれかかっている南だった。



