「じゃ、これで入学式は終わり。
お前ら、さっさと帰れよー」
HRが終わっると同時にみんなざわざわと賑やかになった。
「葵、南、帰ろう」
「あ、うん・・・」
帰りの準備をしていると、葉月が一緒に帰ろうと呼びに来てくれた。
それに曖昧に答えて鞄を肩にかけた時だった。
「・・・わりぃ、俺今日先に帰るわ・・・」
南は私たちの返事も聞かず、鞄を持って先に帰って行ってしまった。
「南・・・」
行ってしまった南の後姿を目で追う。
「・・・二人とも、なんかあったの?」
下から私の顔をのぞいて葉月が聞いた。
「・・・ううん、何でもないよ・・・」
元気なく笑う私に葉月は心配そうな顔をしていたいたけど、「わかった」と言うように小さく微笑んで
「じゃぁ帰ろっか」
と言って歩き出した。
「うん」
葉月の後ろを追いかけてついて行く。
明日になったら、またいつもみたいにちゃんと南と話せるかな・・・。



