「わ〜!」
屋台は焼きそば、リンゴ飴、茶屋、たこ焼き、焼き鳥、焼きとうもろこし…いっぱい出ていた。
「あっ、わた飴がある!」
「じゃ、俺はお好み焼き」
「ちょっ、二人とも!?」
呼び止める前に、南と琉衣は屋台に走って行ってしまった。
「も〜」
「ハハハ。
ま、二人が戻ってくるまで近くのベンチに座っていようか」
「うん、そだね」
葉月と笑いあって、私たちは二人を待ちながらベンチに座った。
「…葵」
「何?」
「んー、約束、覚えてる?」
「約束?」
「ほら、文化祭最後の日…」
「……あっ」
「思い出した?」
「う…うん…」
そうだった。
ここ最近文化祭のことで頭がいっぱいだったけど、私文化祭最後の日、南に告白するって言っちゃったんだよね…。
「…ホントに告るの?」
「う、うん。
そのつもり…」
なんだけど…。
最近は南ともちゃんと話ができるようになったし、私的にはまだこのままでもいいかなって思うようになってるんだよね…。
「…葉月、本当に私告白しても大丈夫なのかな…」
「…どういうこと?」
「私、また南とちゃんと話せるようになったことがすごく嬉しいの。
だから…臆病になっちゃったのかな…。
南に告白しちゃったら、南に否定されるんじゃないかって、今度こそ話もできなくなっちゃうんじゃないかって、考えちゃうんだ…」
「葵…」
「でも、葉月と約束しちゃったし、私がんばるよ」
笑ってみるも、葉月は眉をよせたままだった。
「別にさ…ムリしなくていいんじゃない?」
「え?」
「葵はこの前、告白してフラれても、また南と幼なじみに戻れる自信はあるって言ってただろ?
俺はさ、正直…ムリだと思う」
「……」
「幼なじみに戻れたとしても、もう一緒にはいられないと思うんだ。
だって、一緒にいてもお互い遠慮し合ったりするだろ?」
「…確かになりそうかも…」
「だから、ムリにしなくてもいいんじゃないか?
俺は今のままで十分だと思う。
ま、でも葵がそれ以上に行きたいっていうなら、俺は止めないけど」
「葉月…」
今のままで十分…か。
私は…私はどうしたいんだろう…。
南のことが好きなのは確か。
けど今の関係が壊れるのはやっぱり怖い…。
だったら、このままでいるのが一番いいのかな…?
そんなことを考えていると
「お〜い!」
二人が帰ってきた。
「おかえり、って…二人ともいっぱい買ってるね…」
「うん!
どれも美味しそうなんだもん!」
「「ハハハ」」
両手いっぱいに食べ物を持った二人に、私と葉月は笑った。
明日が文化祭最終日だ。
それまでに、私はどうしたいのか、よく考えとこう…。



