「おじさん、一回ね」
「あいよ。
がんばってね」
200円おじさんに払って、代わりにポイを貰った。
「よ~し、たくさん取るぞ~!」
え~と、角にいるあの赤い子が取りやすそうだな。
「えいっ!」
バリッ!
「あぁ~・・・」
あっけなくポイは破れてしまった。
このポイもろいんじゃない!?
・・・なんて、おじさんに言えないし・・・。
「葵、おしかったね」
「葉月・・・」
「しょうがねぇな・・・。
俺が取ってやるよ」
「え、南!?」
そう言って南はおじさんにお金を払ってポイを受け取っていた。
「見てろよ-。
こんなの一瞬にして・・・!」
パシャンッ・・・。
「「「あ・・・・」」」
南が赤い子を狙ってすくった瞬間、金魚が跳ねてポイが破れてしまった。
「・・・・くっ」
「み、南・・・。
ドンマイ・・・」
「くそっ・・・!」
「はぁ、しょうがないな。
俺がやるよ。
・・・まだ南のヤツ使えるし、お金がもったいないから葵のも借りるね」
「え、でもそれ・・・」
私のも南のも、もうほとんど破れてて端っこに少ししか残ってないよ・・・。
「兄ちゃん、それでやるのかい?」
「はい、これで十分ですよ」
にこっと笑って葉月は金魚すくいに集中した。
真剣な表情・・・。
がんばれ、葉月!
「・・・よっと」
「「「・・・・」」」
私も南もお店のおじさんもびっくりしてポカーンと口を開けて呆然としていた。
す、すごい・・・!
あんなちょびっとしかすくうところなかったのに、あっという間に三匹も取ってる。
葉月ってホントすごい!
「おじさん、これ一匹ずつにわけてくれる?」
「あ、あぁ・・・」
おじさんびっくりし過ぎて口がずっと開いてる・・・。
葉月がすくった金魚を三匹受け取り、店から出た。
「葉月すごかったね!」
「そうでもないさ。
はい、南と葵の分」
「あ、ありがと・・・!」
一匹ずつに分けられた金魚を受け取る。
「かわいい・・・」
帰って水槽の中に入れて大事に育てよう。



