今の時刻、4時45分。
ちょっと早く来すぎたみたいだ…。
神社の階段の下で二人を待つ。
二人が来るまで、鏡を見ながら前髪を整えたりした。
数分後。
「あれ、葵今日も早いね」
「ま、まぁね」
葉月と南が来た。
二人も甚平を着ていて、まぁ何て言うか…かっこよかった。
「葵、今年も浴衣なんだ」
「まぁね。
お祭りとかのイベント行事じゃないとなかなか着れないしね」
「そうだな。
葵、可愛いよ」
にっこり笑って言う葉月は何だか輝いていた。
「あ、ありがとう…」
直球に言われて、照れてしまう。
葉月は素直だなぁ〜。
南にもこんな素直さがあればいいんだけど…。
チラッと葉月の後ろにいる南を見てみる。
すると、不意にも目が合ってしまった。
ドキッとしてすぐ目をそらす。
いつしか私は、南の顔をまともに見れなくなっていた。
でも、さっきのはさすがに傷ついたかな…。
目をそらしてしまったことに少し後悔する。
でもずっと合わしとくのも何か恥ずかしいし…。
…何で私は南の顔をまともに見れなくなってしまったんだろう…。
前までそんなことなかったのに…。
そういえば最近南のことばかり考えてしまう。
何でだろう…。
「…い。葵!」
「え!?」
「大丈夫か?
呼んでも返事しないから…」
「ご、ごめん、ちょっと考え事…」
「…そっか。
でも今はお祭りを精一杯楽しもう!」
「うん、そうだね…」
そうだよね。
せっかくお祭りに来たんだし、楽しまなきゃ!
南のことは、今は置いとこう。
よ〜し、思いっきり楽しむぞ〜!
「私、金魚すくいしたい!」
「わかった」
私たちは屋台が並んでいる神社の中へ入って行った。