【葵】
私は三人分の飲み物を持って、葉月がいるであろう海の家に先に向かった。
っていうか、ちょっと待って?
…私どうしちゃったの!?
南に触れられるのも、助けられるのも、しょっちゅうのことで慣れてるはずなのに…。
いや、普通慣れちゃいけないけど…。
でもさっき事故で起きたことだけど、助けられて、体触られて……。
何か無性にドキドキする!
何、この心臓の音!
いつもより早くて大きく聞こえる!
静まれ〜、私の鼓動〜!
「あれ、どうした葵?
顔真っ赤だぞ?」
「へ?」
考え混んで下を向いていた私に前から呼びかけられる。
顔を上にあげると、目の前には焼きそばのパックを三つ持った葉月がにこやかに笑いながら立っていた。
「二人と外で食べようと思って持って来たんだけど…」
「葉月…」
そうだ、葉月は南と違って頭もいいし、大抵のことはわかる。
この鼓動、何なのか聞いてみようかな…。
「ねぇ葉月」
「ん?」
「私今何だかすごくドキドキ鼓動が鳴るんだけど、何でかな…」
チラッと葉月を見てみる。
そるとその言葉を聞いた葉月はポカーンとしていた。
「…葉月、聞いてる?」
「…あ、あぁ…。
えっ、何突然?
全く話が読めないんだが…」
「う〜ん、だからね……」
まだ帰って来ない南を確認してから、さっき起ったことを話した。



