「…平気か?」
「うん…」
また南に助けられちゃった…。
「ごめん、葵。
もう少し早く来てればこんなことには…」
「ううん。
…そういえば、何で来るの遅かったの?」
「それが…女の子たちに囲まれちゃって…」
「え?」
「葵と反対に、俺たちは逆ナンされてたんだよ」
「……」
確かに葉月も南も、顔も整っててルックスもよくて、よくモテるとは思うけど…。
南の場合、誰かれかまわず睨んで誰も寄り付かせないオーラを出している。
反対に葉月はにこやかで近づきたいオーラを出している。
現に中学校時代、葉月のファンクラブができるほどモテていた。
けどまさか南までとは…。
「な、何だよ…」
「いや、よく南怖がられなかったな〜って」
「うっせ」
「南、いざ女の子たちに囲まれるとなると、どうしたらいいのかわからなくてテンパるんだよ」
「そうなんだ」
それでいつもの睨みもできなくて女の子たちも逃げなかったんだ…。
でも…。
「早く来て欲しかった…」
「ごめん」
「お前もそんな格好してないで、パーカーぐらい着ろ」
パサっと南が着ていた白いパーカーを頭に投げられる。
「でもこれ南の…」
「いいよ。
今日1日貸してやる」
「…ありがとう」
今日の南はいつもより何だか優しくて、それが思ってたより嬉しくて、パーカーを着ながら微笑んだ。



