なかなか来ない南たちを待っていると
「お、かわいい子発見!」
「ねぇねぇ、キミ1人?
俺たちと遊ばねぇ?」
知らない二人の男の人たちに声をかけられた。
「え…あの…」
今ここにいるのは私だけだし、きっと私に話しかけてるんだよね…?
「あの、私人を待ってるので…」
「え、もしかして女の子?」
「違いますけど…」
「ちぇっ、違うのか。
じゃぁさ、やっぱ俺らと行こうぜ」
何でそうなるのかな…。
人生初のナンパだけに、どう対処したらいいのか分からない…。
「えっと、ごめんなさい。
そろそろ来ると思うので…」
「いいからいいから。
一緒に行こうぜ!」
ガッと腕を捕まれる。
「は、離してください…!」
ビクッとして手を振り払おうとする。
「おっと、簡単に離すと思う?」
グイッと腕を引っ張られて顔を近づけされる。
「……っ!」
あの屋上での出来事が脳裏によみがえった。
「やっ…だ…!」
「うおっ、暴れんなって!」
無理矢理にでも逃げようと、暴れてみる。
「くそっ。
おい手伝え!」
「お、おぉ…」
もう1人の男に押さえつけられようとした時…。
その人はいきなり目の前にこけた。
いや、こけたと言うより蹴られたって言った方がいいかもしれない。
「おいてめぇら、葵に何してんだよ…?」
「うちの子に手出さないでいただけますか?」
すごんで睨む南に、ニコニコとはしてるもの、目が笑ってない葉月。
「やっと来てくれた…」
二人が来てくれて、安心する。
「けっ。
こんなブス返してやらぁ」
パッと手を離され、倒れた男の人をひこずって立ち去ろうとする。
そんな彼に、南は肩を掴んで引き止めた。
「おい、誰がブスだって…?」
「ちょっ、止めろ南」
「うっせぇ!
葉月は黙ってろ!」
「あぁん?
お前、俺とやる気か?」
「あぁ、いいぜ。
とことんやってやらぁ」
「南!」
私は急いで南を抱きしめ、今にも殴りかかろうとするところを止めた。
「南、もういいから!
ケンカしないで…」
「葵…」
拳を上げていた南は腕を下ろした。
「ちっ。
やってらんねぇぜ」
そう言って男の人は行ってしまった。



