―放課後―
「とうとう放課後になっちまったな…」
「葵、本当に1人で大丈夫?」
「葉月は心配しすぎだよ〜」
「だってもしも葵に何かあったら…!」
「大丈夫だって。
ただ断って来るだけなんだし…」
「…そうだよな」
二人とも、本当に心配してくれてる…。
早く戻って来よう…。
二人と別れて、1人屋上に向かった。
「…あのー…」
扉を開けて中に入ると、1人の男の人が振り返った。
「あっ、来てくれたんだ、東月さん!」
「まぁ…」
やっぱり、知らない人だ…。
「読んでくれたんだね。
で、返事を聞いてもいいかな?」
ズイッと体を近づけられる。
「え、えっと…。
ごめんなさい!
私あなたのこと全然知らないし、好きとかまだよくわからないので…付き合えません」
一歩後退って頭を下げて断る。
「そっか…」
「ごめんなさい…。
でも、友達に…」
頭を上げて言いかけた時、ガシャンッと腕を握られてフェンスに押さえつけられた。
「…友達にとか、バカにしてんの…?」
「そんな…」
ただ付き合うことはできないから、友達になろうって思ってただけなのに…。
「誰もいねぇし、いいよな?」
さっきの優しそうな笑顔とは違い、不気味な笑い。
怖い…。
「放して…!」
腕に力を入れて振り払おうとする。
けど、敵わなかった。
「……っ!」
「男の力に敵うわけねぇだろ?」
「いや…」
どんどん顔が近づいてくる。
いや…。
怖い…。
誰か…助けて…!
「南…っ!」



