「葵、大丈夫!?」
ジェットコースターを降りて近くにあったベンチに座る。
「だ、大丈夫大丈夫。
ちょっとフラフラするぐらいだから…」
「フラフラって…。
全然大丈夫じゃないじゃん…」
「ホント大丈夫だって!
葉月は心配性なんだから〜」
「まったく、誰のせいでこうなったと…。
…南も平気か?
さっきから顔が赤いけど…」
「へ、平気だ!」
「そうか?
ならいいんだけど…」
「…さてと、今度はどこ行く?」
ベンチから立ち上がって聞く。
「の前に、お前まだフラフラするだろ?
少し休もう。
さっき近くにアイスクリーム屋さんがあったから、それでも食べながら次行く場所決めよう」
「…ありがとう、葉月」
「どういたしまして」
「ねぇ、南もそれでいいよね?」
「あ、あぁ…」
「じゃぁ決まりだね!」
葉月の隣を歩いてアイスクリーム屋さんに進む。
アイス、楽しみだな〜。
…それにしても、何で南顔赤いんだろ…?
「すいませーん」
「はいはい」
「バニラ1つとチョコ1つ、ストロベリー1つくださーい」
「はーい、待ってねー」
「…葉月はいつまでたってもバニラだね」
「そう言う葵もずっとストロベリーだろ?」
「ハハ、そうだね」
笑いあってると、奥からおばちゃんがアイスを3個持って渡してくれた。
「ありがとうございましたー」
さっそく先にベンチで座ってる南に、チョコアイスを渡した。
「はい」
「サンキュ」
私を真ん中に、3人座って食べ始める。
「わ〜、このアイスクリームおいしいね!」
「うん、普通に売ってるとこより美味しいかも」
「確かにな」
「ねぇ、葉月のちょっと頂戴?」
「ん、いいよ」
「ありがと」
葉月がもっているバニラアイスをペロッと一口舐めた。
「あ、バニラもおいしいね」
「だろ?」
「あ…、葵!」
「ん?」
「葉月は男なんだぞ!
ちょっとは恥じらいってもんを…!?」
「何言ってるの、南?
だって昔からしてきたことじゃん」
幼なじみだし、小さい頃から食べあいっこしてきた仲なんだから、今さら恥じらいなんてもの、持てないよ。
「それは昔のことで…!」
「それより、南のも一口頂戴」
「なっ!?
お、俺のは絶対やらねぇ!」
「えぇ、何で〜?」
「何でもだ!」
…なんか、いつもの南と違うみたい…。
中学の頃はあっさりくれたのに…。
「南…何か変だよ…」
「え…?」
「…なーんて、スキアリ!」
「あっ!」
動きが止まったのを見て、私は南の手を掴んで持っているチョコアイスをパクっと食べた。
「……っ!!」
「うん、チョコもおいしいね」
ペロッと口元を舐めて南を見ると、真っ赤な顔をしてアイスを力いっぱい握ってた。
「え、ちょっ。
そんな赤くなるほど怒んなくても…!
ごめんっ!」
「……怒ってねぇし!」
ベンチから立ち上がり、ポタポタと垂れるアイスを食終へ、ゴミをゴミ箱に捨て、南は1人ずんずん進んで行ってしまった。
「…どうしよう、私南を怒らせちゃったのかな…」
「…いや、あれは怒ってるっていうよりも、照れてるんじゃないのか?」
「照れてる?
何で?」
「さー、何でだろうなー?」
人がこんなに落ち込んでるっていうのに、葉月面白そうに笑ってるし…。
心配性の葉月なのに、南のこと心配じゃないのかな…?
あと私…。
はぁ、とため息をついてから食べ終わったアイスのゴミをちゃんと捨てて、南を探すことにした。



