「葵、早くしないと遅刻するわよ!」
「わかってるよ!」
私、東月葵。
今日高校生になるのだ。
そして・・・入学式そうそう遅刻しそうになっている。
「外で南くんと葉月くん待ってるんでしょ?」
「だから急いでるってば!」
あぁ、どうせ顔を出したとたん南に怒鳴られるんだろうな・・・。
『何やってんだー!』
みたいな・・・?
「じゃ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
鞄を肩にかけて急いで玄関を出る。
すると・・・。
「こら!
葵お前何してんだよ!」
「わっ!」
いきなり南に怒鳴られた。
伊久南。
私の幼なじみで、小さい頃から口が悪い。
おまけに・・・よく授業をさぼり、ケンカをする不良なのだ。
「まぁまぁ、南。
そう怒鳴るなよ。
葵が朝弱いっていうのお前ももうわかってるだろ?」
優しく私たちの仲をなだめる彼。
三坂井葉月。
彼もまた、私と南の幼なじみである。
葉月は面倒見がよく、昔っからいつも私たちのお世話をしてくれていた。
南みたいに怒ったところをあまり見たことがないくらいすごく優しい。
「葉月はほんと、優しいな〜。
いいお嫁さんになれるよ!」
「お、お嫁さん・・・」
笑顔で言う私に、葉月は苦笑いをしていた。



