やばい、非常にやばい。

俺は今、昴と押し合いっこしている。

いや、ふざけてなどいない。大真面目だ。


今昴に押し負ければ、健全な未成年には見せられないアダルトな内容になってしまう!

そうなればよくある漫画の打ち切りのように、


『ご愛読ありがとうございました!作者の次回作にご期待ください!』


みたいになってしまうじゃないか!




「まず次回作すらなくなるかもしれませんね。強制退会とかで」

「誰のせいだ!てか、心を読むな!」

「申し訳ありません。東藤さんの頑張る姿が可愛らしくて」

「だぁぁぁまぁぁぁれぇぇぇ!!」



このままでは犯されてしまう!

何か、何かこいつの気を引くことを!



「や、やめろ昴!お兄さんが悲しむぞ!」

「!」




今だ!
















――ドサッ



昴をベッドに押し付けた。


「フッ、どうだ!俺だって男なんだ、力の差があって当然だな」

「…………」


「……昴?ど、どこか痛かったか?」


「なぜ……、私に兄がいると知っているのですか?」


…………え?

あ、そうか。

あれは夢で、現実では昴は兄がいることを俺に言っていなかったな。



ん?まてよ?

ということは……。

















――ガラッ


「仙崎さん、東藤さんの様子はどうです……か」



あ。

「有栖川さん」


アリスガワ?

「昴、誰だ」

「昨日マネージャーになった方です。休みで来ていませんでしたが。ついでに、加藤部長の彼女さんです」

「進の?へー……」


……いや、へーじゃないな。

今のこの状況はおかしいだろ。



俺は(正当防衛で)昴をベッドに押し倒している。

昴は(俺を襲うため)服がはだけている。



「……ち、違うんだ、有栖川さん。これは……」















「きゃぁああぁああああぁぁぁあぁあ!!」


ぎゃぁああぁああああぁぁぁあぁあ。




「東藤さん、副部長でありながらなんてことを!は、は、はれんちです!」

「あ、有栖川!誤解だ!」

「うるさいです!黙ってください!見損ないましたよ!」



くそ、だめだ!

この子はパニックの時に人の話を聞かないタイプだ!



「最低です、ひどいです、卑猥です、キモいです、クズです、ゲスです、死ねです!」


さすが毒舌ドSで有名な進の彼女だ。

ここぞとばかりに攻めこんでくるな。




「このことは進くんに報告します!」

「え、ちょ……!」

「近づかないでください変態!」

「変……態……!」


有栖川はそう言って、走り去ってしまった。


「!、有栖川さん!」


そして昴も行ってしまった。







「…………俺が悪いのか」