『……キライ?』

「あ、あったばかりだからわからない」

『じゃあスバルのことわかれば、すきになってくれる?』

「場合によるがな」


『そっか。あのね、スバルはね、センザキスバルっていうんだよ』

「さっきから言ってたからわかってる」

『あとね、あとね。今日のぱんつはピンクだよ』

「言わんでいい!」


『あとね、えーとね、とーどーさんすきだよ』

「なっ……」


不意打ちすぎて、子供相手にドキッとした。


「ば、ばか!そういうのは簡単に言うな!」

『だめ?』


……可愛いとか、思ってないからな。




『とーどーさんは優しいからぱぱみたいにスバルをうらぎらないでしょ?』

「……パパは、裏切ったのか」

『うん』


俺は一体何を考えているんだ。

これは夢だ、夢なんだ。

真面目に考えるな。




『とーどーさんは、スバルと一緒にいてくれる?』

「…………一緒、に?」

『スバル、一人キライ』




ああ、なんか。

懐かしい。


俺、昔に同じ会話をしたことがある。

俺、昔にこいつに会ったことがある。


そうだ。俺はこの時、俺と同じ一人のこいつに自分を重ねて……。




「……一緒に、いる…」

『ほんと?』

「あぁ、一緒に……いたい」


『じゃあ約束ね、約束』


思い出した。


「……スバル」

『ん?』


この時に、俺はこいつに言ったんだ。


「大きくなったら俺と……」



















――…目の前が真っ暗になった。


目を覚ますと、目の前には、


「あ、やべ」


昴がいた。













よし考えようか。

今俺はおそらく保健室にいる。

薬品独特の匂いでわかる。


そして視界の端に天井が見えることから、ベッドの上にいるみたいだ。


だが、視界の大部分を昴の顔が占めているのは何故だ。


つまりはアレか?

襲われていると考えて間違いないのか?


だったらヤバくないか、これ。

昴の服はだけているぞ、オイ。




落ち着け東藤悠吾、こういうときはどうすればいい?

常識的に考えろ!


そうだ!




「だ、誰かぁああぁああぁぁあああ!」

人を呼べ!



「無駄ですよ、下校時間はとっくに過ぎてます。恐怖で戸惑う東藤さんも可愛らしいですよ」

「うわぁぁぁぁぁ!助けてくれぇぇぇぇぇぇ!!」