俺の名前は東藤 悠吾(トウドウ ユウゴ)

高校二年生。


その日の朝、俺は至って普通に登校していた。


いつも通りの朝。

いつも通りの道。

いつも通りの空。

いつも通りの日。


何もかもがいつも通りだ。


すると、急に目の前に女子生徒が現れた。


俺は挨拶しようと口を開いた。


その時だった。


















「結婚してください。パンツ見せてください」




















俺は女子生徒に背中を向け、状況を整理した。



よし、考えてみようか。



さっきまでいつも通りだった。

だが、今のはなんだ?


……空耳か?


「うん、空耳だ」


馬鹿か。

朝、それも登校中に出会った初対面の女子生徒にセクハラ発言をされるなんて。

どんなミラクルだよ。


まだ寝ぼけていたようだな。


さ、早く彼女に挨拶をしようではないか。



気を取り直して、彼女の方へ向き直った。


















「結婚してください。パンツ見せてください。愛してます」



















空耳じゃなかった。

しかも何か付け足されてた。


告白?

いや待てバカ野郎。

どこの世界にあんなドストレートなセクハラ告白があるんだよ。


嫌がらせか?

ならやり方考えろよ。

これなら水ぶっかけられる方がわかりやすくてマシだ。


というか真顔なのが何より怖いわ。

告白なら恥ずかしがれ。

それも困るが。


そして何故に棒読みなんだよ。

あそこまで感情こもってない声初めて聞いたわ。



なんだ、俺にどうしろっていうんだ。


ツッコミか、ツッコミ待ちなのか。

ボケにしてはハードル高すぎだろ、もっと下げろ。





「東藤さん」

「うわっ!」


いつの間に目の前にいたんだ!?


「私東藤さんが好きなんです。愛しているんです。それはもう死にそうなくらい。いやもう死んでもいいと思います。結婚してください、お願いします。それかパンツでもいいです、パンツ見せてください。東藤さんのすべてがほしいんです」


怖っ。

あ、涙出てきた。


「ま、待ってくれ!俺達は初対面のはずだ!いきなりそんなこと言われても困る!てかパンツってなんだ!とにかく落ち着いてくれ!」

「愛に時間は関係ありません。その気になれば今すぐ子作りできますよ」

「やめろ!一話目早々に小説削除されそうな発言するな!いくらギャグといえども限度があるだろう!」

「ご安心を。その時はよくある『数分後』とか映像が入り、すべて隠してくれますから。読者の目は守られます」

「俺の純情が完全に守られてない!」

「結婚してください。パンツ見せてください」


「い、いったい……なんなんだ!?」