「綺麗だなぁ……」

「そうね……」

思わず口から溜め息が漏れる。
朝靄が掛かった太陽も悪くない。

そう思った次の瞬間、彼等の後方で何やら小さな音がした。
振り向いてみると、絵画の額縁に金粉の塊ようなモノが付いている。

それは空中へ飛んでいくと、風船が割れるように弾け飛んだ。

金色の粉が二人に降り注ぐ。

「これが……」

「ハロウィンの魔法なのね」

辺りを見回せば、元通りになっている置物と、床に散在する金粉。
それはやがて、雪のように溶けてなくなっていった。

一夜の悪夢は、朝靄と共に消えていった。