「ここは託児所じゃないんだけど」


家に着くなり、真司の溜め息。


「仕方ねーじゃん。ほっとけないし」
「翔一、その子連れてきてどうするの?」
「それは、その…」
「一度関わったら責任が出てくる。少しは考えて行動しないとだろ。」
「分かってるよ!でも――」
「そういう甘さは命取りだ。」
「――っ」


眠った絢音を抱えて翔一は奥の部屋へ閉じこもった。



「ちょっと言いすぎたんじゃありませんか?」
「いいんだよ。それより」


真司が俺を見る。


「隆くんも、むやみやたらに人を連れてくるもんじゃないよ。」
「はいはい。けどよ、翔一の言い分も一理あると思うぜ?」
「分かってないね、キミも。」
「あ?どういう意味だよ?」


その問いに真司は答えることはなく、ただ煙草の煙を吐いていた。