「助手席には夏芽ちゃんも乗るんだから俺だけじゃ車決められないでしょ?」

「私はなんでもいいよ」





壱が運転する車ならなんだっていいの。


なんて事は心の中だけで呟いておく。





「ダメ。夏芽ちゃんも見ようよ!」

「見ても分かんな――、やっぱり見ようかな」





絶対に壱は分かってる。


どんな表情をすれば私がすんなりと一緒に見ようとするか、そしてその後見せるとびっきりの笑顔に、なんで最初から見ようと言ってきた時に頷かなかったんだろう?と思わせるんだ。





「座るのそこ?」

「そこ、って?」

「ベッドに入って来てくれるのかと思ってたから。隣って言ったらここじゃない?」





いやいや、横と言ったらベッドサイドにある椅子でしょ。