お父さんも仕事休んで来ようか?と言ってくれたんだけど、お母さんだけにしてもらった。
お父さんに来てもらいたくなかった理由は壱の事を思って。
壱の事だからお父さんが仕事を休んで来たんだと知ったら凄く申し訳ない気持ちになると思ったから、来るなら仕事終わりに来てって言ったんだよね。
「そうなの」
「うん」
「そ、そういえば…。流れてないみたいね?」
チラリと電源が切られたテレビに視線を移したお母さん。
――そう。
壱が暴力を振るわれ入院した事はとても大きく報道されるのに、私の事は一切なにも…
マネージャーさんが言っていたような事にはなっていない。
「流れないのかしらね」
「分からない…。まだなのかもしれないし」