情けない?
情けなくなんてない。
もし情けないと言ってくる人がいれば私はそんな事ないと心から言える。
「壱はカッコいいよ」
「嘘」
「嘘じゃない」
傷があったって、どんな事があったって壱は素敵なんだよ。
誰よりも壱は素敵。
「ナースコールするね。皆、壱の事心配してて…」
床に膝をついている状態から立ち上がろうとすると、弱弱しい壱の手が私の腕を掴んだ。
「もう少しふたりで居たい」
「でも…」
「お願い。夏芽ちゃん」
じゃあ、ちょっとだけ…
本当は直ぐに呼ばなければいけないけど、私ももう少し壱と話してたい。
壱が目覚めたと伝えればバタバタしちゃうから。