シャワーを浴びバスローブを羽織り、バスルームから出るとアイドルの姿はもういなくて。


けれどテーブル上に小さなメモが一枚あり、そのメモには俺のという文字の上に携帯番号が書かれていた。





「どうして?」





どうしてアイドルは私に携帯番号を教えてくれたんだろうか。


こんなの必要ないのに…


なんて思っているくせにそのメモをゴミ箱になぜか入れられなかった。


連絡なんてしようと思ってないのに、思わず苦笑いをしながら壁にかかっているスーツに手を伸ばす。


もう帰ろう。


この場所にいる訳にもいかないし。


そう言えばホテル代ってどうなってるんだろう?


よく分からないや。


はぁと深い溜め息をした後に、どっと疲労感が私を襲ってきた――…