「もー、夏芽ちゃん可愛すぎだってば」

「だって緊張が!」

「もっとそんな夏芽ちゃんを見てたいけど…」





アイドルは私を引っ張るように歩き出す。





「早く俺だけの夏芽ちゃんにしたいから、待たない」

「……っ」

「ま〜た照れてるの?本当に夏芽ちゃんは照れ屋さんだなぁ」





クスクスとアイドルが笑っているのが分かる。


っていうか私を照れ屋にするのはアイドルだけだよ。





「待って。コンパス考えてよ」

「夏芽ちゃんに合わせたら日が暮れる」





日が暮れるって流石に大袈裟過ぎ。





「ちゃんと歩くから…。あのね、一緒の小幅で向かいたいの!」





なんて叫ぶように言えばピタリとアイドルの足が止まった。