―――ガラッ―
欠伸を噛み締めているとそんな音が聞こえて思わず振り返る。
ぼんやりと見える影が近付いてきて目を擦る。
や、やばい…
目をちゃんと開けてられないくらいの睡魔が襲ってきている。
それに足も思うように動かなくて、これでは少し外れた所にいる私を取りに行ってくれた店員さんが気付かない可能性がある。
その証拠に、ぼんやりと見える人のような影が出口の方へと進んでいる。
「ま、待って下さい!私はここに居ます」
なんて声を出せばその影がピタリと止まった。
良かったと思っていると…
「え、誰?」
そんな声が返ってきた。
その声はさっき話した店員さんの声とは違う男性特有の声で、もしかして違う人が届けてくれたのかな?
――携帯を届けてくれる店員さんだと思い込んでいる私は疑うこともなくそう思っていた。