……… …… 「アユニ?」 トン、トン 部屋のドアを叩く音と、柔らかい声がまだ半分眠っている僕の耳に飛び込んでくる。 「アユニ? 起きて?」 トン、トン これもまた、夢なのだろうか。 ……アユニ…… アユニ? 僕は慌てて起き上がる。 「あ……ああ、はい、はいはい」 寝惚けた頭で、僕は何とか昨夜の出来事を思い出していた。 『アユニって呼んでもいい?』 確か野中七海は、昨日そう言って笑っていた。 『二番目のアユ』 そう、二番目の歩太。