そのうちに小百合さんが、買い出しの大きなスーパーの袋を抱えながら店に入って来た。 「あ、小百合ちゃん、シュークリーム、みんなに出してあげてちょうだい」 「はーーい」 僕はコーヒーをカップに注ぎ、小百合さんはシュークリームを配る。 彼女は恐縮しながらそれを受け取り、それから嬉しそうに笑った。 さっきまで大粒の涙を流し、ため息をついていた女の子とは思えない。 シュークリームを目の前にし、キラキラと瞳を輝かせている。 「いただきます」 まるで鈴が鳴るような彼女の声。