「……っあ、え? ……ちょっ、ちょっと」 僕は慌てて立ち上がり、彼女をなだめようとする。 けれどもオロオロするばかりで、こんな時の僕はちっとも役に立たない。 ……… 「どうしたの? 歩夢くん」 その時、タイミングよく……か悪くか、小百合さんがお店のドアから顔を出した。 「あーー、歩夢くんが女の子泣かせてるーー」 小百合さんは半ばふざけてそんな事を言い、それからすぐに、 「とにかく、中に入ってもらったら?」 そう言って助け舟を出してくれた。