……… 「野中……七海……」 それから思わず、僕は彼女の名前を声にも出してみる。 けれども僕の記憶のどこにも、そんな名前は引っかからない。 「誰だろう……?」 そう問いかけても、僕の問いに答えてくれる人は、もちろん誰もいない。 僕の疑問は虚しく、ただキッチンに独り言となって響いた。