「だけど、一咲とアユは、二人で逃げる計画を立てていたのよ。 その橋渡しをしたのも、わたし。 二人の手紙のやり取りを手伝ったわ」 …… ゆらゆら…… ゆら 彼女の煙草は右へ左へと小さく揺れ、その動きに合わせて立ち上る煙が彼女の顔を隠した。 「でも……本当はね、一咲なんか早くどこかへ行ってしまえばいいって、わたし、いつもそう思ってたの。 だけど、二人は、わたしは二人の味方なんだって、そう信じて疑わなかった。 ……二人が家を出る時、わたしにだけこっそり、行き先を教えてくれたわ」