孤高の魚




野中七海の言葉と、ヒーターの風音以外に、このキッチンには音がなかった。
ただ時折、冷蔵庫のコンプレッサーが低い唸りを上げる。

ヒーターは稼働しているのに、キッチンの温度があまり上がっていない様な気がした。

少し……寒気がする。

降り出したという雪のせいかもしれない。
足元から、冷たい空気が漂っていた。


………


「わたしは、パパと一咲の間を取り持っていたわ。
その時、わたしはまだ15だったけれど、幼い頃から、わたしはその役目を任されていたの。
……パパは誰よりも、優秀な一咲を愛していたし、わたしはいつも、そんな一咲の監視役だった」


フウ……

煙を吐く彼女の顔は、徐々に強ばっていく。