そんな野中七海の横顔を見て、僕は思わず期待などしてしまったのだ。 これは、所謂『デート』というやつではないか? と。 尚子と待ち合わせて、食事などへ行く時とは明らかに違う。 微妙な距離を保ったままの二人。 すごく離れた様な気もするけれど、同時にすごく近付いた様な気もする。 何もかもから彼女だけを遠ざけて、見えないヴェールで覆ってしまいたい。 ……僕だけのものに。 僕は彼女の隣で、密かにそんな恥ずかしい願望など抱いていた。