その一生懸命な姿は、本当に健気だった。 挨拶をする程度だった僕でも、いつしか自分の部屋にも彼女を招き入れるようになっていったのだ。 ……… 『君は、歩太の彼女なの?』 あの頃、何も知らない僕が尚子にそう尋ねた時、尚子は、 『ううん、1回ヤッただけ』 と、あっけらかんと答えた。 僕はそれ以上は何も訊かなかったけれども、尚子は確かに歩太に恋をしているのだと、その時何となく思った。 本人は決して、それを認めないのだけれども。