孤高の魚




「ねえ、歩夢。ナナミちゃんに何か言ったの?」


僕の部屋のドアを閉めると同時に、尚子はそう僕に詰め寄ってきた。


「いや……」


と、僕が曖昧な返事をすると、


「じゃあなんで?
なんで急に、あんなんなっちゃったの?」


尚子は僕を責める様にしつこく食い下がる。


「僕だって、知らないんだよ。
わからない」


尚子をなだめる様に、そう言って僕は、わざと大きな溜め息を吐いた。


「……やっぱり……」


視線を落としてから、尚子はそうポツリと呟く。


やっぱり……?


「やっぱり、ナナミちゃん、変だよね……?
前からちょっとだけ、そんな感じはあったんだけど」


そうして何か言いにくそうにしている尚子に、今度は僕の方が突っ掛かった。