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『……僕達が思っている以上に大きな力が働いて、頭から、まるで津波のように、何もかも奪われることもあるって事だよ』
そんな慌ただしいだけの生活の中で、ふと、いつか歩太が夢の中で言っていた事などを思い出す。
『回ってしまった歯車は、止められない場合ももちろんある』
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やっぱり、夢の中の歩太が予言した通りなのだ。
僕の知らない所で、けれども確実に僕を巻き込んで、得体の知れない巨大な歯車は、とっくに回り出している。
しかもそれが、これからどんな物を巻き込んで、どこへ向かおうとしているのか。
それももちろん、誰にも解らないのだ。
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それを感じてしまっている事が……怖くないはずはない。

