……怖くないなんて言ったら、それは嘘だ。
尚子にとって、ただのセクフレであったはずの僕の存在が、僕の知らない所でムクムクと巨大な化け物みたいに成り代わっていく……
それは例え誰に知られる事がなくても、目には見えない変化であったとしても、僕自身がそれを知っている。
それだけで充分、僕には脅威的なのだ。
……大袈裟だ、と他人は言うかもしれない。
自意識過剰だとも。
けれども現に僕の目の前で、新しい命は間違いなく育っている。
………
僕自身の存在が、勝手に歪められ、肥大化され、それに僕自身が打ちのめされているという事実。
それについて何の解決策も見当たらないまま、毎日はいつも、ただ慌ただしく過ぎて行くのだ。

