孤高の魚




けれどもそんな彼女には、時折、辛い偏頭痛がある様だった。

酷い時には寝込んで、1日部屋から出ない事もある。

そうして夜中にひっそりと、まるで幽霊の様にキッチンへと現れる。

そんな時の彼女の肌は、うっすらと青く、まるで透き通ってすぐにでも消えてしまいそうだった。

いつもの強い視線もない。
宙を漂い、空を眺めている。


キッチンの闇の中で、彼女の白い肌はよく映えた。


「……大丈夫。……いつもの事なの」


僕が声をかけると、そう言って無理矢理に笑う彼女の笑顔を見るのが辛かった。