「お金とかはさ。あたし、実はめちゃ貯金してるし。父親候補の一人で、キャバのお客さんでね、いいとこの社長さんがいて。 ……その人に言えば、いくらかは用意してくれると思う。あたしの父親代わりだって、すごく良くしてくれる人だし。 だから大丈夫だよ」 そう言う尚子は、意外にもあっけらかんとしている。 情けない僕に、気を使ってくれているのだろうか。 ……『大丈夫』 尚子はキッパリとそう言い切るけれど、果たしてそれは本当に『大丈夫』であるのか、僕には全くわからない。