そして、二週間後、私達はまた飲み会。



それまでは、不定期的にたいてい月イチペースだったが、



次は、二週間後ね!という、この早さ。



二人は、相当、あの店を、そして涼を、気に入ったらしい。



私達はまた、軽めの一次会を、とっとと済ませて、二次会へ。



入店時間は、8時50分。
この店は7時オープンだがまだ客は入っていなかった。



「いらっしゃいませー」



と、手持ちぶさた気味なバーテン達が、出迎えてくれた。



たった一度来ただけなのにもう、マスターの友人と認識しているようで、



「いつもありがとうございます」



と、丁寧な挨拶をされて、



いやいや、いつもだなんて。まだ2回目だし、と内心照れていると、



「瑠璃子さん」



見覚えのないバーテンにそう言われて、
私はギョッとした。



私じゃなかったのか!恥ずかしいじゃないか!なんだか顔が火照ってしまった。



つーかなんでこの人、瑠璃子の名前、知ってるの?



そして瑠璃子は、柔らかく微笑みながら、そのバーテンにコートを預けていた。



ふーん、そうか。そうか。



「来てたんだ、瑠璃子、ここに」



「うん、遅い時間に一人で来たり、仕事上がりに同僚と来たりね」



てことは、少なくとも2回か……。



「いいねっ金持ちは」



「別に。仕事で疲れて夕飯作るのめんどくさい時とか、ここ、ご飯も美味しいから、みんな大喜びよ」



「ありがとうございます」



おっと、まだいたのか。



「それに、やっぱりこういうお店は、遅い時間の方が楽しい。ね、水野くん」



「はい。ありがとうございます」




お前は、それしか言えんのか!?




「はーい、みんないらっしゃい。お通しだよ~」



そこへ涼がやって来た。
今日は、男スタイルだ。
私は、違和感なく受けいれることができたが、
グミは、目を丸くしていた。



やはり、この衝撃は大きいか。



「すごい、美女だと思ってたけど、けっこうそのままなんだね。ビックリした!かなりメイクしてるのかと思ってたんだけど」



「そう。そうでもないの。お肌ツルツルだし、ファンデは苦手で必要最小限。少しチークを入れて、アイメイクは、しっかりめ。まあ、僕のメイクに関して言えるのはそんなとこ。グミちゃん、元気にしてた?」




それ、女が言ってたら、そうとうイヤミだから。