ダメだよ。私達まだ、出会ったばかりだし、
わからないことだらけだし…………。
ここは、ばしっと断って、帰らないと。
頭は、わりとしっかりしてた。
でも、口が、
「ためれす、あっし、かへりぃぃ〜」
ああ、飲み過ぎて呂律廻らず。
身体も、うまく身動きとれず、彼に支えられる始末。
支えられたらもう、アウト。
「飲み過ぎちゃったんですね。気持ちわるくないですか?」
見た目がスマートだから、とてもそんな力なさそうなのに、
優樹くんは私を軽々お姫様抱っこ。
うわ〜。これ、ヤバイ。ヤバイ。夢心地入ってきた。
私、さっきまでの理性完全に消失。
「ううん、気持ちいい……」
「なら、もっと気持ちよくさせてあげるね。ほら、外を見てて。夜景が綺麗でしょう?」
私はベッドに横たわりながら、外を眺めた。
ほんとだ。
その部屋からは街の夜景が一望できた。
こんな美しい街に住んでいるんだ、私、と改めて認識させられた。
走りゆく新幹線が、まるで銀河鉄道のよう。1戸 1戸の建物の灯かりも、個性があって美しい。
全然気づかなかった。
この美しさに。
「美久さん……美久さん……」
いつのまにか、服を脱がされ、耳元に彼の甘い囁き。
「好きです。大好きです。ひとめ見たときから。だから、声をかけた……」
なぜだろう、彼の声は、いつもよりいっそう、とろけるように甘い。
かわいい。
私も、私も……。
「だいちゅき」
