うん、うん、と頷いて、
サヨナラをした。
久しぶりに、いい出会いだったな〜。とニヤケていると、
「姉貴、あれ誰?」
「高柳優樹くん」
「会社の人?」
「違うよ」
「じゃあ何?」
「何も知らない」
「ナンパか?」
「違うよ。彼はツル」
「ツル?」
「困ってたから助けてあげたの。だから恩返ししてくれるって」
「それナンパだろ」
「違うよ」
「ナンパ野郎に浮かれる歳じゃねーだろっつーの」
「はいはい。なんとでも言って」
裕太の説教なんてうわの空。
ユウキくん、無事新幹線に乗れたかな?
ウフッ。
「気持ちわりぃなぁ。あーあ、またひと夏の恋か……」
裕太の哀れみの表情を横目に、私からは鼻唄が漏れていた。
その後優樹くんからは、すぐに電話が来て、食事に誘われた。
彼は隣のM県に住んでいて、あの日はたまたま出張でこちらに来ていたとのこと。
「地元はそっちなんですけど……」
いいお店を知らないから、美久さんにお任せしますと言われたので、
私の好きなイタリアンのお店を予約した。
まず再会に乾杯し、楽しい時間を過ごしつつ、お互いの年齢の話になった時、
「え〜〜っ!!」
その、二人の驚き声は、店内に響き渡ってしまった。
そして
「25ぐらいかと思った……」
という台詞が、重なった時は、一緒に大爆笑。
「そうだったんだ〜。いや〜全然、29には見えなかったなぁ〜騙されたなぁ」
「私も〜」
そんな冗談を言いあって。
