もちろん、剛のしたことを、完全に許した訳ではない。


コイツが、したことは、最低最悪だと今でも思っている。
でも、専門学校時代からの友人であり、今では、仕事のことを語り合える数少ない友人のひとり。



正直、今日、声をかけられた時、
私は、嬉しかった。



寂しかったんだな、私……。と、自覚した瞬間でもあった。



あれから、美久だけでなく、なぜかグミも、疎遠になってしまった。



貴志さんには、二度会えたけど、
甘えられるのは、ほんの一瞬のこと。



待ち望んでいた甘い夜を過ごしたあとは、容赦なくやってくる朝を迎え、
虚しい日々を過ごして行く。



それの繰り返し。



その事を、細かく把握しているのは美久であり、グミであり、そして今、目の前にいる剛に、他ならないのだ。




「そろそろ、泡盛、いってみるか?」




そう言われて、断る理由がない。





美味しい、美味しいと、
私達は飲んで食べて、酔って……。



「じゃあ、行くか」



と、以前よく行ったラブホへ。
私は、多少酔ってはいたが、意識ははっきりしていた。



それでも、拒否はしなかった。



なんだか、寂しかったから。




こんな形で、剛と復活するなんて、思ってなかったけど……。



身体の相性は、やっぱり、素晴らしく良い。




「ああっ、ああーん」



と、絶頂に達した叫びにも似た声をあげると、はあっと、彼も果てるのだ。



つまり、私達は、同時にイク。



そして、彼は



「ありがとう、瑠璃子」と、唇や頬に、優しくキスをしてくれるのだ。



この、キスが、絶妙。
あまりベタベタしつこいキスでは興ざめだし、あっさり過ぎても淋しい。



その点、剛は、その丁度良さを知っているから、
女の扱いが上手い。



だから何人もの女が騙される。



のだ。
と、思う。