涼ちゃんは、知ってるんだったね。



グミのモトカレのこと、〈ヘブン君〉なんてアダ名つけちゃってたしさ。



グミちゃんには時間が必要。
もうちょっとだけ、時間が必要。
見守ってあげよう。



涼ちゃんは、そう言ってたんだよ。



だから…………。




私と、涼ちゃんは、微笑み合うことが出来た。



グミ、強くなったよねって。



涙が、涙が止まらない。



なんで、ここに美久がいないのよ。
なんでよ。



美久、いや、みるく。みるくのバカ!



そう思うと、余計に涙が流れてくるのだ。



「るりちゃんが、そんなに泣くの、初めて見たね」




グミに言われて、




「だって、人前で、こんなに泣いたことないもん」



顔を上げられなかった。



化粧が崩れていそうで……。




今まで、そんな心配したこともない。



「もう遅いし、そろそろ帰ろうか、グミ。お会計、お願い」



そう言ってグミに財布をz預け、私は御手洗いへ向かった。



鏡を見ると、やはりアイラインが、ヤバイことになっていて……。




これから、ただ家に帰るだけなのに化粧直しだなんて、バカみたい。



おかしくなって、少しだけ、



アハッと笑った。



やだ、なんか、こういうとこ、



みるくみたいじゃん。



私達は、変わった。



私達は、無意識のうちに、それぞれの欠点を認め、それぞれの長所を学んでいたのだ。



だから、グミは、強くなれた。



私は、いつまでも強い女でいるわけにはいかないんだ、と思うようになった。



みるくは?



みるくには、どんな変化があった?



ずっとずっと、心配しながらも、メールも電話も出来ない日々が続いた。



グミも、「美久ちゃん電話に出てくれない!」と言っていたし、



頼みの綱であった涼ちゃんも。



「アイツ、全然連絡とれねーし店にもこねーよ」



……って。



どうしたんだろう。このままでは、
私、青い空に浮かぶ無邪気な雲さえ憎むような女になってしまいそうだよ。



最悪でしょ、それ。