白いジャージ9 ~最終章~







このことは絶対に直には言わないでおこう。




直のことだから、また“大竹さんはどんな気持ちで先生を好きだったんだろう”とか“隠し続けるって辛かっただろうな”なんて言い出すから。





直は、自分のことを嫉妬深いと言うが、俺はそうは思わない。





嫉妬と同時に、直は相手の気持ちになって考える。




だからさ・・・・・・俺は、ますます直が好きになるんだよ。










「ボーリングでもやっぱり勝てなかった~!くそ~!!」






健二は、さっき飲んだビールで酔っぱらってしまったのか、俺に絡んでばかりだ。




「いつまでも若いし、かっこいいし、若い奥さんもらってるし、ボーリング優勝するし、新垣は何もかも手に入れるんだよ。悔しいけど、俺には無理だ」





「どうしたんだよ、健二」






「何もねーよ」






とトイレに行った健二。







周りにいた数人から話を聞くと、健二は離婚したらしい。




つい1カ月程前なんだって。







「だから、荒れてるんだよ。和人のこと、大学時代からねたんでたしな」







トイレから戻って来た健二に、どうしても飲みたいから付き合えと言われた。





先生もコーチも行くと言うので、俺も付き合うことにした。






早く帰りたい気持ちが強かったが、きっと直なら“久しぶりだからゆっくりして”って言うだろうから。