そうか。
平沼が持っていたのか。
何枚もあったけど、その当時は大切さに気付かずに捨ててしまった。
「ありがとうな。平沼が持っててくれたから、今も残ってるんだよな」
「私も、結婚することになったしね。いつまでも新垣君の思い出を持ってるわけにもいかないから」
平沼は、俺のユニフォームを大事そうに胸に抱えて、そっと目を閉じた。
「私の片思いも、これでスッキリおしまい・・・・・・」
小さな声でそう言った。
俺は、何か言葉を探したが、何も出てこなかった。
「ありがとう」
それしか言えなかった。
平沼が俺のことを想ってくれているのはずっと知っていた。
卒業してからも、少なからず俺を想っていてくれたんだということを今、知った。